非上場企業の会計監査(ケースその2~会社法監査②)
(前回記事)
非上場企業の会計監査(ケースその1~会社法監査①)
増資して、資本金が5億円の会社になる。決算日(2019年3月末)まで減資もしていない。
②2019年3月31日:
2019年3月31日の貸借対照表において、資本金が5億円以上もしくは負債総額が200億円を上回ることが確定。減資をしていれば、大会社にはならなかったが、減資をしていないと大会社になる。
(参考)会社法2条6号(一部省略)
要するに、2019年3月までに減資しておけば、大会社にはならず、会計監査人も選任する必要はなかったのですが、それを失念してしまったために、会計監査を受けることになってしまったケースです。
この手の会社さんからは、「何とか監査を受けなくても済む方法ってないですか?」という質問を受けることがあるのですが、会計監査人の非選任は、コンプライアンス違反に即直結するような話であり、昨今の法令順守を強く求める社会的風潮を考えると、ガバナンスの観点からも望ましい状態ではないですよね。20世紀であれば、監査をしないという選択肢をとっても何も言われなかったかもしれませんが、ちょっとしたことでも後ろ指をさされる可能性がある21世紀、もはや専門家としては、「選任しなくても大丈夫」などとは言えません。選任しなかったとしても、過料は100万円以下なのですが(会社法976条22号)、今の時代、SNSなどでどんな責めを負うことになるのかわからない時代です。選任しなかったことによる社会的信用の喪失をはかりかねない以上、選任しないということはあり得ないのではないでしょうか。
ただ、ワンタイムの会計監査ということであるならば、大手の監査法人に依頼する必要は必ずしもないとは思います。規模が大きな会社であれ、非上場企業であれば、個人の会計士でも対応できる範囲の業務であると思われます。アクシデンタルなかたちで、会計監査を受けることになった場合でも、費用などをリーズナブルな水準におさえるため、個人の公認会計士に業務の依頼を考えることも選択肢のひとつだと思います。
(リンク)
一時的な会計監査人の選任を検討の際は、こちらまで