監査向上を図るIT投資は、監査報酬の値上げにつながる(週刊エコノミスト)

(記事)週刊エコノミスト(2月22日号)

「監査報酬は単価上昇(しているけれども)、(監査法人に)のしかかるIT投資費」と題して、公認会計士の負担軽減や監査向上を図るIT投資は今後も増加する傾向があり、監査報酬の値上げにつながっている現状について、とりあげられていました(P76)。

以下、記事抜粋。

「大幅な監査報酬の値上げを要求し、監査先が受け入れないことはあたかも想定内であるかのように、さっさと監査契約の更新を辞退し撤収していく大手監査法人。監査報酬値上げの理由は「利益確保」のためだ」

「(一部中略)上場会社の事情に頓着することなく、「こんな低い報酬ではやってられない」「おたくの会社に人は避けない」と言って監査法人は去っていく。10年前ならば考えられなかった対応だ」

東洋経済の記事にもありましたが、大手監査法人がBig Clientに注力する傾向が強くなり、そのしわ寄せが中規模の上場企業や、非上場企業に影響を与えています。そういった会社の財務経理部長は、発想の転換が必要になるでしょう。以前は、大手監査法人でないと監査は頼めない、個人の会計士などに難しい仕事の依頼はできないということで、Big4の法人に業務を頼むのがあたりまえの時代であったかもしれません。しかし、2010年以後は、規模が比較的大きい中堅企業の監査、外資系子会社の業務、IFRSやUSGAAPへのコンバージェンスといった業務も、中小監査法人や個人の公認会計士に担い手が増えて、選択肢がかなり拡大しています。

また、本エコノミストの記事のP37では、会計士の本音トークとして以下のような偽らざるコメントが記載されています。

「低採算先からの撤退にはノルマがあり、監査先が応じるわけがない大幅な値上げを突きつけざるを得ない。こんなことをやっていたら、いつかしっぺ返しを食らう(大手監査法人の会計士談)」

大手であれ中小であれ、監査法人が報酬の値上げを要求してきたということであれば、それは何らかのサインであるとも思われます。前述のとおり、企業の利害関係者や経営陣の意向などをふまえて、財務経理担当者はより現実的な対応をとることが今後は求められるのでしょう。

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