有価証券報告書を提出する外資系企業

金融商品取引法では海外企業であっても、1億円以上の発行価額で「有価証券の募集」や、1億円以上の売出価額で「有価証券の売出」を日本で行った会社は、有価証券報告書の提出が義務付けられています。(金商法24条1項3号、4条1項5号、2条3項1号、金商法施行令1条の5)。ここで、有価証券とは、株式だけではなく、社債なども含みます。具体的には

①海外で上場しており、日本で株主の募集を行った会社
(例)Hutchison Port Holdings Trust

②日本で社債発行をした会社
(例)Genting Singapore Limited

などがあります。①の例としては、日本と親和性の高いビジネスをしている企業などが多いでしょうか。日本で株主を募集したとしても、親和性の高いビジネスを展開していなければ株主は集まらないでしょうから、資金調達ができない可能性があります。最近は、②の例が増えているかもしれません。日本は、今までにない低金利状況です。低い金利で資金を調達して、ビジネスの拡大を図るということは、どんな企業でも考えることです。

というような事情から、日本での資金調達を行う会社は少なくないのですが、上記のとおり、こういった有価証券の募集・売出を行った会社は、有価証券届出書を提出したうえで、半期報告書や有価証券報告書を毎年提出する必要があります。有価証券届出書や有価証券報告書の作成は、企業内容等の開示に関する内閣府令にしたがう必要がありますが、日本の投資家を対象に開示するものであるため、日本語で作成する必要があります。具体的な作業としては、本社で作成している英語のアニュアルレポートを日本語に翻訳したうえで、内閣府令に定められている必要記載事項を開示することになります。

こういった翻訳作業と、内閣府令の規定にしたがった開示を行うためには、やはり英語に通じている会計事務所に依頼をするのがベストかと思われます。翻訳会社に依頼しただけでは、中途半端な日本語になりやすいですし、かといって英語がわからない専門家に依頼すると、親会社担当者などとのコミュニケーションが円滑に進まず、当事者間でトラブルが発生する可能性もあります。

弊所では、外資系企業が提出する有価証券報告書の作成やアニュアルレポートの翻訳を承っております。ボリュームが大きくなる傾向がある有価証券報告書は、より良い内容にするためには、早めに対策を練ることが欠かせませんので、何かしらございましたらご連絡をいただければと存じます。

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