公認会計士(日本と米国の比較/その2~将来のキャリア形成)
前回、試験の難易度という観点から、USCPAとJICPAの違いについて、簡単にコメントしましたが、将来のキャリア形成(ここでは、日本国内に限定します)という観点からも、両者には大きな差異があります。
まず、USCPA資格取得者は、最初は監査法人に入所するかもしれませんが、5年もしないうちに事業会社のFinancial Managerなどに転職する人が多いような気がします。逆に10年以上、監査法人で働いている人は、相当優秀な人です。もしくは、ステップアップのチャンスを見誤った人だと思います。そもそも、USCPAの試験合格者って、アメリカでは100万人以上いるらしいですが、まあ、このこと自体、監査法人などで働くことを前提としていませんよね。だから、アメリカでUSCPAの資格を持っていることは、一般的かつそれなりに高いレベルの会計に関する専門的知識を持っていることを意味しているのだと思います。
それとは別に、日本の公認会計士は、まだまだ事業会社に身を置く人が少ないような気がします。最近の若い人はそんなことはないようですが、やはり監査法人に10年近く在籍している人も結構いますし、コンサルティング業界や、独立開業している人が多いと思います。要するに職業的専門家として働いている人が、かなり多いと思います。
まず、JICPAを目指すのか、USCPAを目指すのかを考える場合、職業的専門家を目指したいのか、そうでないのかを真剣に考えるべきなのでしょうね。幸か不幸か、私は事業会社の財務経理責任者としても働きましたし、公認会計士・税理士として専門的業務も行ってきましたが、どちらかというと私はやはり後者の仕事がしたかった。だから、前者の仕事をしても、難しい仕事(例えば、英語で専門的な業務をすること)に関してはすごくやりがいを感じていたのですが、逆に社内で調整が必要になったり、角が立たないように気配りをしながらする仕事が向いていないと思うことも多かったです。もし、職業的専門家を目指したいと思っているわけではなかったら、私はUSCPAを選択することを薦めます。そのほうが遥かに早く、社会に出て、よいステップアップを図ることができると思います。また、30代で監査法人にUSCPAが入社しても冷遇されるだけだと思います(スゴいにものがつくくらい優秀であれば別)。
まあ、人生いろいろなので、断定的に物言いすることはできませんが、USCPAが日本で職業的専門家として活躍することは非常に難しいと思います。