ローソン社員による金銭横領(1)

ローソンが、50代の男性社員が9年間で4億3000万円を横領していたとして、30日付で懲戒解雇したというニュース。

ローソン社員が4億3千万円横領 9年間で (日本テレビ系)


4億3千万円流用で懲戒解雇 ローソンのIT部門担当社員(共同通信)

解雇されたのはIT部門に勤務していた50代の男性社員で、2011年から9年間で計4億3000万円を私的に流用していたとのこと。取引先1人と共謀して業務委託料を水増ししていたということで、社員は「流用した金は2人で山分けした。飲食などに使った」などと話しているという。

Yahooのコメントでは、

・これは本人が悪いかもしれないがそれ以上会社のほうが悪い。
・お金を扱うなら、2年以上同じ職務につけてはいけない。
・これだけの横領金が発覚しないとは、適当な内部監査の状態が見える

というような意見もありますが、内部統制の視点から見ると、実はこの手の不正は内部監査を実施したとしても、なかなか見つからないというのが実際のところです。50代の男性社員ということですから、おそらくそれなりの管理職の従業員であったと想像されます。この従業員が、プロジェクトの担当責任者であったり、渉外担当のような方であったのであれば、請求書をスタッフに作らせて、自分が承認してしまえば、なかなか水増ししていることは発覚しません。ましてや、業務委託契約を締結する段階で水増ししているような状況であれば、おそらく不正していることもバレないでしょう。また、IT関連業務は専門性の高い部署。担当の交代もそれほど頻繁に行うことは難しいです。

こういった不正を防ぐには、相見積もりを定期的にとるということが欠かせないでしょう。しかし、こういった手続をあたりまえにすることは、難しいです。今まで長い付き合いをしていたベンダーさんとの取引を切ることにもなりかねないので、担当部署側の反発も予想されます。とはいえ、ある程度の人員を抱えている大会社では、こういった手続、必ず必要になるのではないでしょうか。被害額も大きなものになりがちです。

ローソンのような会社なので、内部監査や承認プロセスなども複数人によりかなりしっかりされていたことも予想されますが、おそらく内部監査人も所定の手続を淡々と行っているだけということも多いでしょうし、管理職が不正に関与していたら、複数の承認プロセスなどもあまり意味はありません。それを前提に、どうやって不正を防止するのかを考えていく必要があるでしょう。

(リンク)
従業員不正を防止するための内部統制整備・内部監査などのサービスをお考えの際は、こちら