令和元年 公認会計士試験問題の感想(会計学~管理会計)
令和元年公認会計士試験論文式試験の試験問題 及び答案用紙について(会計学/午前)
いつまで、続くかわかりませんが、会計学の試験問題についてコメントしたいと思います。なお、計算問題については、実際に計算機をたたいて難易度を把握しているわけではないので、あしからず。
第一問、問題1はきわめてオーソドックスな問題という印象。問5以後の記述問題も、質問の切り口は少し難しさを感じるものの、求められている解答はそれほど難しいものではないという印象。また、問5にあるようなP工場の原価管理担当者とのやりとりは、意外と実務でも多くあるので、こういったことを常識として知っておくことは悪くないと思います。
問題2も、同じような印象を受けますね。計算問題もそれほど難しさを感じません。現実的標準原価・理想標準原価なんて言葉は初めて聞きましたし(私は20年前の受験知識なので…)、標準原価カードという言葉が出てくるあたりに、試験委員の独自色も感じます。全体的に良い問題だとは思うのですが、受験生にはちょっと酷なのかな~という印象もあります。
第二問 問題1は、原価企画(Target Costing)の問題ですね。20年前はすごく新しいトピックだったのですが、もはや業界ではあたりまえの知識なのでしょうか。これも、試験委員の独自色も感じますし、難しいかなと思いますが、メーカーの監査をする人にとっては必要な知識でしょう。計算問題もからめて出題するのは難しい論点ですが、ここまで受験生が対応するのは大変ですよね。こういったことに取り組まなければいけないことが、会計士試験と日商簿記試験の違いなのでしょう。
逆に問題2は、基本的な問題という印象。意思決定計算は、バリュエーションなどを行う際にも必要な知識になりますし、私が試験委員だったら、この手の問題は必ず入れたい論点ですよね。
といったような、ほぼほぼ感想になってしまいましたが、問題の半分は基本的な論点、残りの半分は最新のトピックをまじえた問題という感じだと思いますが、管理会計に関しては昔からこういったトピックについてどんどん出題していこうという姿勢があったような気がします。全部(直接)原価計算や標準(実際)原価計算といったような古典的な知識は必ず勉強する必要はあると思うのですが、こういった新しい論点が出題されてしまうあたり、会計士の受験勉強はますます大変になっていますよね。ちなみに、原価企画だとか、標準原価計算の意義・目的をここまで問うような問題は、USCPAでは間違いなく出題されませんよ。