東証2部上場企業 梅の花 不適切会計による決算修正
レストラン梅の花、不適切な会計処理 19年4月期9.8億円赤字に
東証2部上場企業の株式会社 梅の花が不適切な会計処理により、赤字を計上することになった件。2010年以後の決算について修正を行ったとのこと。
不適切な会計処理が、子会社の減損に関連するものであるということですが、まず、この会社のCFO(管理本部長)。上場企業の管理業務をつかさどる人間として、あまりにもお粗末。第三者委員会の調査報告書を見る限りでは、不適切な会計処理に関して、指示をしていなかったとのことですが、逆に、指示をしていなくても、会計リテラシーが低すぎる。管理監督者として適切なコミュニケーションを怠っていたとの記述もありますが、そもそもそういった兆候があったり、減損の可能性を把握していなかったのであれば、上場企業の管理本部長として失格。なんだか、減損シートを作成した担当者が、前任社から引き継いで、その作業をそのまま行っていたような記述もありますが、そもそも管理本部長であるならば、減損の可能性については、内部的な管理資料だけである程度つかんでおくようなセンスが必要。少し手厳しいかもしれませんが、私はそういう見解です。
社長のお立場としては、今回の事件は少し寝耳に水的な部分もあったでしょうが、唯一の責任としては、こういう会計リテラシーの低い方を管理本部長として置いてしまったこと。もちろん、管理本部長としての才覚は、会計基準をよく知っていることだけではありませんよ。会社の業務をよく知っていること、管理本部長として店舗や営業担当者の心情をよく理解し、調整能力を発揮することが一番大事です。でも、上場企業ですからね…非上場企業であれば、会計リテラシーなんて低くても全く問題ありませんが、こういった件があると問題があぶりだされますよね。
担当者が、「この件は、10年前から脈々と続いていて、私にはよくわかりません」的なリプライをしたのも、何となく想像つきますが、経営陣にとってはいい薬であったでしょう。有報を見る限りは、それほど、管理業務の人材に優秀な高給取りの人材を配置できない事情もうかがいしれますが、今回、弁護士先生やコンサルティング会社にフォレンジック調査を依頼した費用というのもバカにならなかたっと思います。また、長年会社につくしてくれたのでしょうが、上場すれば管理本部長に求められる役割というのも自ずから変わってきます。そういったことを考えれば、管理本部長の人選を少し考えなければいけなかった。もちろん、そんな人材は内部から育成できないし、外から雇うこともできないという理屈もわかりますが、であればサポート役として会計士を顧問でつけたりしなければいけなかった。自分でいうのも何ですが、月額20~30万円くらいでこういった問題を陰からサポートしてくれる個人の会計士なんて沢山います(それすら高いと言われたらぐうの音も出ませんが)。
加えて、自業自得とも言えますが、約10年分の決算短信修正作業は、本当に骨の折れる作業であったでしょう。働き方改革の中で、残業させるわけにも行かない中、本当に大変だったと思われます。おそらく、こういった作業を管理本部長がしたのかもしれませんが(まあ、仕事の性質上、なかなかスタッフには押し付けられません)、こういった追加コストを考えると、やはり何かしらの手を打っておくべきだったのかなと思います。
いずれにしても、こういったことの無いように、上場企業は公認会計士と顧問契約などを締結するなどといったようなことはこれからも必要なのかもしれませんね。