非上場企業の会計監査(ケースその4~IFRS対応)

一般的に、Referred Work(外資系企業の連結子会社監査)が行われる際には、IFRSやUS-GAAPに基づいて監査手続が行われることが通常で、J-GAAPベースの監査が行われることはありません。外資系企業が、本国において連結決算を締める場合、当然に本国における会計基準を適用することになるので、アメリカであればUS-GAAP、欧州であればIFRSが適用されることが通常です。

ということで、日本に本店所在地を置く連結子会社は、税務申告ベースでは日本基準で決算を締めることが通常であるため、日常的な仕訳は日本基準を踏襲しつつ、本国への決算報告はIFRSで対応するというようなことを行うわけです。では、連結子会社がどこまでIFRSに忠実に決算を行っているかというと、これまた非常に微妙な気がいたします。個人的な印象ですが、だいたい日本の連結子会社でCFOやFinancial Controller(経理部長)をやっている方って、USCPA試験には合格しているものの、それほど監査法人でバリバリ働いてきたというわけではなく、どちらかというと実務家の方が多いです。こういったタイプのマネージャーの場合、IFRSへの対応方針が比較的はっきりしています。

具体的には、監査法人がOKを出すレベルのIFRS対応をする。それでおしまい。

会計基準マニアのような人はほとんど皆無で、限られたリソースでどのようにマネージングするかということで自分の評価を高めてきた方が多いです。ということで、IFRS対応も、十分なリソースを抱えて対応できる環境で仕事をしてきたわけでもなく、どうしてもギリギリの対応になってしまう。ということで、監査法人がagreeするレベルの対応をして、監査をクリアしていく。決して無理な対応はしない。というスタンスで決算を進める人が多いような気がします。

逆に監査人側からすると、質的・量的重要性が高い連結子会社の場合は、厳しい対応をせざるを得ないものの、リスク・アプローチの観点から監査を実施するので、それほど高いリスクが識別されない場合は、それほどまでに厳しい対応をとらなくてもよいケースがある。そんなときには、思いのほか簡便的なIFRS対応で認めてくれることもあり、拍子抜けすることもあるくらいです。

経験のあるマネージャーの方は、この辺りのさじ加減が実に絶妙で、監査人との間でもうまくコミュニケーションをとられている方が多いなという印象があるのですが、所詮、公認会計士も人間なので、当たりはずれはあります。うまくさじ加減をしているつもりでも阿吽の呼吸が通じなかったり、親会社の監査人から、IFRSの提供に関して厳しい要求がされている場合は、そんなマネジメントの思いなど目もくれず、ひたすら鞭声粛粛と監査を進めるケースもあります。

いずれにしても、IFRSは抽象的な会計基準でもあり、そういった少々アバウトな感覚を理解してくれたうえで、かつアウトになるような対応には毅然とした対応をしてくれるような監査人とお付き合いできればそれに越したことはありません。外資企業にしろ、国内企業にしろ、経理担当者は、そういった信頼できる監査人と仕事をすることが大事で、規模がそれほど大きな会社でない場合には、法人のブランド力よりも、そういった信頼関係やコミュニケーションの構築が大事になってくると思います。

(リンク)
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