連結外しによる粉飾決算(エフエム東京)
エフエム東京の前経営陣が粉飾決算に組織的関与、第三者委員会が報告
少し前のニュースになりますが、FM東京で意図的に業績不振の子会社を連結から外し、粉飾決算を行っていた件。いくつかポイントになる事項があるので、コメントします。
まず、第一にFM東京が非上場会社であるにもかかわらず問題になったこと。会社法上の大会社であり、非上場企業であっても、監査法人による監査を受けていたと思われますが、非上場企業が第三者委員会報告書を開示するケースは、あまり聞いたことがありません。この手の公共性の高い会社の場合、名だたる大企業が株主として出資していることが多く、その影響は少なくないと判断されたのでしょう。
第二に、連結からの外し方がかなり露骨であること。エフエム東京の前社長が知人の企業に子会社の株式を購入してもらい、エフエム東京の持株比率を下げ、不振にあえぐ同社を連結対象から外していたとありますが、どうなんでしょうね。非上場なだけに、そこまでやらなくてもよかったのではないかという考えもありますが、逆に、そこまでしないといけない理由があったのだろうかという考えもあります。i-dio事業に投資してきた金額は100億円にものぼるとされていますが、営業損利益に与えるマイナスの影響は3年間で10億円。こういった事業の場合、長期的な観点から投資効果を判断すべきであり、ここまで露骨なことをして、損失を隠さなければいけなかったのかどうか腑に落ちません。まあ、それについては、突っ込まれたくない事情なり、いろいろとあったのかもしれません。
第三に、再発防止策が本当に有効に機能するのかという疑問。経営陣の刷新・内部監査機能の強化、コンプライアンス意識の向上などがあげられていますが、もともと非上場企業で、経営陣の意識を変えるって相当難しいのでは?一番よいのは、外部から社外取締役・社外監査役を招聘することになるのでしょうね。上場企業でも、役員の過半数は社外ということが多くなっていますが、そこまでやらないと難しいでしょう。非上場企業の内部監査機能強化というのは、本当に難しいでしょうね。上場企業ですら、内部監査が機能していない会社もたくさんありますから。海外では当たり前になりつつありますが、やはり、不正の摘発といったことが目的にあるのであれば、こういった機能を、外部の公認会計士が担うということは時代の流れになっていくでしょう。従来の和を重視した日本企業においては、従業員の不満を把握したり、現場の意見をマネジメントに上げるということも、内部監査の役割として求めらえていたのかもしれませんが、明らかにそういった役割を求める風潮は少なくなっています。非上場企業であっても、この辺りの意識は変えていかなければいけないと思われます。
(参考記事)
内部監査(外資系企業と日系企業の違い)
(リンク)
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