東証、すてきナイスを特設注意銘柄に

東証、すてきナイスを特設注意銘柄に (日経)

建築資材の販売、住宅・マンションの販売、仲介、賃貸、建築工事業などを事業領域とする、すてきナイスグループの不正会計。

概要をかいつまんで説明すると、すてきナイスGの元代表取締役会長兼CEOが実質的に支配する会社(社長が100%保有していたため、上場主体が保有しているわけではないため、連結子会社として扱われなかった)に対する宅地やマンションなどの不動産販売取引について、「すてきナイスGの決算対策として、経済的実体のない売上・利益の計上目的」で行われたものであったこと、当該会社を実質的に支配していることから子会社と認定されること、また、譲渡不動産の対価がグループ会社からの融資によって決済されていることから、「財貨の移転」がなされているとは言いがたいことなどから、売上計上すべきではないとした事例。

第三者委員会報告書の受領のお知らせ(2019年7月24日)

簡単に言ってしまうと、本来であればグループ間取引として処理すべき事例を、外部に対する売上高として計上したという不正会計処理です。第三者報告書を読む限りでは、社長が100%保有していた会社の重要性が低いために、連結子会社として扱われなかったということですが、こういうところを見ると、日本基準のデメリットが浮き彫りになってしまいますよね。IFRSでは、基本こういった会社は、連結子会社として扱われます。連結子会社の扱いに関しては、原則すべて取り込みます(だからと言って、IFRSでは重要性の原則の適用を排除しているわけではないですが)。重要性の観点から、一部のこういった実質支配会社を連結対象から外すということが許されると、こういった恣意的な会計処理が行われてしまうものです。

いろいろと再発防止策が、第三者報告書では記載されており、社長(創業者)の独断で行われたような記載がありましたが、私自身、社長が独断で行うとはあまり思えなくて、指南役がいるのではないかなと勘ぐってしまいます。もちろん、社長の鶴の一声があって、こういったスキームは進められていってしまうのでしょうが、決して一人では考えることができないアイデアだとは思うのですよね。真相はどうかはわかりませんが、いずれにしても、重要性の原則を逆手にとった不正会計であるといえるでしょう。

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