循環取引により資金繰り圧迫→会社倒産

カラコン業者を倒産に追い込んだ金融コンサルタント (日刊工業新聞)

世の中には、資金繰り改善コンサルタントと称する人たちがいるようですが、たちの悪い人たちも多いでしょうね。税理士でも、資金繰りに強みを発揮するという人はたくさんいるようですが、実際のところはどうなのでしょうか。

倒産した会社は、は2013年1月に設立。カラーコンタクトレンズなどを大手量販店向けに販売し、事業規模を拡大させていましたが、急拡大に伴い、相応の資金需要が発生。銀行借り入れだけでは賄えず、取引先から資金援助を得ながら資金繰りを回していたようです。この資金援助が、純粋な貸し付けであれば問題なかったが、循環取引という形で行われていたほか、手数料(実質的な利息)が25―35%と高利であったため、次第に泥沼にはまっていったとのこと。

具体的には、取引先のX社に商品を売り上げて、そのX社から借入をしていたとのことでしょう。上場企業であれば、複数社の間で迂回するような資金移動が行われていたでしょうが、おそらく非上場企業であると思われるので、そこまで複雑な取引をしているとは思えません。そして、利息が25%もあれば、そりゃあ、倒産にもなるでしょう。販売先から、資金を借り入れるということは、中小企業であったり、どろくさい取引関係がある相手先であるとよくある話なのかもしれませんが、こういった取引関係は、あまり望ましいことではないですね。

まあ、不動産のセール&リースバックというような取引は、これと似たようなところはあるのですが、実質的に、所有権とリスクが移転していないと判断される場合には、資産を売却しても、オンバランスされることになります。本業で行われる循環取引とは、似て非なるものです。

こういった循環取引をすれば、資金がいつかは回らなくなるので、年々売上高は増加してしまい、好業績の優良企業に見える決算書にはなってしまうのですが、こういった決算書を持って金融機関へ資金調達を打診することは非常に悪質だなと思います。金融機関としても、勘定明細を厳しくチェックするという姿勢が大事でしょう。未払金や、借入金の明細を見れば、循環取引による粉飾を行っているということはわかりやすいものです。こういう事例を見ると、貸借対照表や損益計算書を見るだけでは、企業の実態なんて理解することはできないのだなということを痛感します。そして、不正リスクという視点から、企業を見ることのできる公認会計士の役割と言うものもまた大きいのだなと思います。

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