会計監査が求められないケース

前回は、会計監査が求められる外資系企業の主な例についてお話しました。

(参考)
(1) 外資系企業が監査業務を依頼するケース

とはいえ、すべての連結子会社や持分法適用会社に、公認会計士による外部監査が求められるわけではありません。
法定監査であっても、監査が求められるのは、財務的重要性を有する重要な子会社だけで、重要性のとぼしい会社については、必ずしも監査を実施する必要はありません。

では、子会社の重要性というものはどのように決定されるのでしょうか?一般的には、以下の財務指標などをベースに、連結子会社の重要性が決定されていると言われています。

・当期純利益
・売上高
・総資産
・利益剰余金

上記のいずれかについて、子会社の財務指標が連結グループ全体の10%を超える場合、外部監査手続を求められることが多いでしょう。
したがって、売上高や資産規模が比較的小さい割合であっても、多額の損失を計上しているため、連結純利益の10%を超えているような場合、外部監査を求められるケースがあります。

また、質的な重要性も考慮されます。
具体的には、日本の連結子会社で、多額の不動産や証券投資などの非経常的な取引が行われているケースや、見積要素をふくむ勘定科目(引当金など)の金額が多くなっているケースが該当します。

これに対して、数年に1回、海外親会社から監査を求められるというようなケースもあります。
重要な構成単位でないものの、ローテーションにより複数年計画で子会社を往査し、状況を把握することが目的とされているケースです。このような場合、財務諸表を検証するよりも、グループ子会社における内部統制を検証しにきている可能性が高く、数値情報などは重要視されないこともあります。

(参考)
(3) 外資系企業の監査報酬が高額な理由

外資系企業(日本子会社)の監査を行う会計士をお探しの方はこちら