資産計上される研究開発費(IFRS)

無形資産を社内で開発、製作することをIFRSでは自己創設とよんでいます。日本基準や米国基準においては、研究開発費の自己創設による資産計上は認められていませんが、IFRSでは資産計上をすることが認められています。

IAS38では、自己創設された無形資産について、無形資産の創出プロセスを「研究プロセス」、「開発プロセス」に区分しています。そのうえで、研究プロセスに関する支出は発生時に費用認識し、開発プロセスに関する支出は下記の6要件をすべて満たした場合に無形資産として計上することとしています。

(1) 無形資産を完成させることの技術上の実行可能性
(2) 無形資産を完成させ、さらにそれを使用/売却するという企業の意図がある
(3) 無形資産を使用/売却できる能力
(4) 無形資産が経済的便益をもたらす可能性が高い
(5) 無形資産の開発を完成させ、それを使用/売却するために必要となる資源の利用可能性
(6) 開発期間中の無形資産に起因する支出を、信頼性をもって測定できる能力

私が今まで見てきた限りでは、自動車などの製造業において、新しい製品(車)を販売できる段階まで到達した場合に、それまでの開発にかかった費用を資産計上したり、製薬業において薬品の上市をすることが確実になった場合に、それまでの開発にかかった費用を資産計上するというような会計処理があるでしょうか。

ただ、一概に開発といっても、特許権などの無形資産がどのように扱われるのかなどについては、日本基準/IFRS/米国基準でそれぞれに異なる規定が設けられていることもあり、その研究および開発の範囲を慎重に検討する必要もあるでしょう。

海外市場への上場をめざすメーカーやバイオベンチャーなどにとっては、このような研究開発がIFRSやUS-GAAPでどのように取り扱われるのかどうかは、非常に重要な論点であり、専門家を交えた検討が必要になると思われます。

IFRS/US-GAAPによる財務諸表/目論見書作成は、日本橋国際会計事務所
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