特別買収目的会社(SPAC)による上場

弊社では、海外市場への上場をめざす会社の財務諸表作成や内部統制の構築支援を行っています。近年では、迅速に資金調達を行う観点から、日本市場よりも海外市場への上場を志向する会社も多くなっているように思われます。

そのような動きの中で、資金調達までの期間が短いSPACによる上場手法が米国市場では主流とされるようになり、2020年度においても、かなりの数のSPAC上場案件があったようです。

特別買収目的会社(SPAC)とは、Special Purpose Acquisition Companyの略語であり、未公開企業の買収を目的として設立される法人であり、IPOを通じて資金を調達する主体になります。いわゆる「箱」と言われる会社であり、Blank cheque company(ブランク・チェック・カンパニー)とも言われます。

米国市場において、SPACによる上場、別の言い方をすると、ブラインドプールによる上場(投資した時点でどのような物件を取得するのかわからない会社の上場)ともいいますが、こういった事例は、数十年前にさかのぼります。1993年に、1933年米国証券法が改正され、Rule 419の採択により、Blank Cheque Company(SPACを含む)による上場が認められることになりました。

(参考)1933年 米国証券法 Rule 419

米国市場におけるSPAC上場案件には、以下のような特徴があります。

  • 上場にあたっての資金調達(公募)は、企業の買収とセットになっている
    多くのSPAC上場案件では、スポンサーや機関投資家との間で、あらかじめターゲット企業の株式取得に関する契約が締結されています。また、De-SPAC(IPOされたSPACが買収対象会社と合併し、一連の取引が完了すること)に関連して、追加の資金が必要になる場合の取り決めなども行われます。
  • 資金調達とDe-SPAC取引は同時に行われる
    IPOするSPACの資金調達(デット・ファイナンスも含む)や、ターゲット企業の買収は、De-SPAC取引の直前もしくは同時に行われることが一般的です。
  • SPAC上場が実現しなかった場合の償還
    当初予定されていたDe-SPAC取引が一定期間内に実現しなかった場合には、投資家への資金償還が行われます。なお、De-SPAC取引が実現した場合にも、資金の償還が認められており、償還比率はの15%から20%に制限されます。
  • 新株予約権(ワラント)のストライク・プライス
    多くの場合、市場価値または新たに発行された証券価格のいずれか高い方の115%に調整されます。
  • 引受手数料(アンダーライティング・フィー)の支払
    De-SPAC取引が実現した場合には、証券会社などに引受手数料が支払われることになります。

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