IFRS財務諸表の作成
IFRSで財務諸表を作成する作業は、会社のステータスによってどれくらいの工数がかかるのか変わってきます。
大まかに分類すると…
A)上場企業
B)上場企業の子会社
C)海外企業の日本子会社・関連会社
というように分けられるでしょうか。
まず、A)の上場企業がIFRS財務諸表を作成することになる場合には、必然的にBS/PLのほかCF計算書や連結財務諸表、それから注記なども作成することになるのでしょう。上場企業にとって、一番のハードルは注記開示情報の作成です。この作業はかなり時間がかかり、どこの会計事務所に作成を依頼してもそこそこの工数がかかるはずです。
B)の上場企業の子会社については、それほど負担がかからない場合もあります。というのも、求められるのは、せいぜいBS/PLどまりということも考えられるからです。親会社が上場企業ということもあり、新しく導入された収益認識会計基準や、リース会計基準なども対応していることも想定され、それほどIFRS導入は工数がかからなかったという結論になることも多いです。
実は、一番大変なのは、C)海外企業の日本子会社や関連会社であったりします。この手の会社は、上場企業レベルの決算実務を行っていないことも多く、外部監査によるスクリーニングを受けていないことがほとんどです。せいぜい、税理士が数字をレビューしている程度だったりします。
以前、税理士事務所を通してIFRSベースの財務諸表を作成してくださいという依頼があったのですが、ファイナンスリースの資産計上なども全くされておらず、コンバージョンに非常に苦労したことがありました。税理士事務所から、依頼を受けた際には「対象会社は規模も小さいですし、そんなにGAAP差異(会計基準の差異)なんかないと思いますよ」と楽観的に言われたのですが…
おまけに、2021年4月からスタートした収益認識会計基準を反映していなければ、さらにIFRSへのコンバージョンは大変になります。要するに、税法ベースで会計処理をしていたような非上場の会社の作業は、相当に負担が大きくなります。
さまざまな事情によって、IFRSやUS-GAAPでの財務諸表作成を求められるケースがありますが、今までに税法ベースでの決算しかしていなかった会社様の場合には、いろいろと苦労が多いことが想定されますので、やはり専門家への依頼を検討すべきかと思います。