香港法人の日本子会社監査

弊社では、香港に親会社がある日本子会社の財務諸表監査の依頼が多くあります。その中で、戸惑うことが多いのは、急いで監査をすることが求められることもあれば、そうでないこともある点です。
ここでは、香港の会社法の規定を通して、その理由について言及したいと思います。

まず、設立初年度を除き、株主総会は会計年度末日から9ヶ月以内に開催することが求められます(香港会社法610条)。そして、公開会社かプライベートカンパニーであるかにかかわらず、公認会計士の会計監査が必要とされています(香港会社法405条)。こちらの条文については、原文から引用すると

405. Auditor’s duty to report
A company’s auditor must prepare a report for the members on any financial statements prepared by the directors, a copy of which is laid before the company in general meeting under section 429, or is sent to a member under section 430 or otherwise circulated, published or issued by the company, during the auditor’s term of office.

ここでは、連結財務諸表の作成義務についてはふれませんが、いずれにしても香港では、会社が株主総会を9ヶ月以内に開催する必要があり、その招集通知に添付する財務諸表について、公認会計士(auditor)による監査が義務付けられています。決算日後相当の期間が経過してから、株主総会を開催するのは世界的にはめずらしいことではありません。結局のところ、迅速な監査が求められるかどうかは、上場企業であるかどうかによると思われます。

非上場の香港企業監査において、日本子会社の財務諸表監査が必要になり、私どもはその依頼を受けることがよくあります。しかし、以上のような法的要請から、株主総会の開催は決算日の9ヶ月後であるため、それほど急いで監査をすることは求められないことがほとんどです。3月決算であるならば8月~9月、12月決算であるならば、5月~6月までに監査を終えてくれればOKというケースは少なくありません。

もちろん、親会社の事情により監査を早く実施することが求められるケースもありますが、タイトな監査報告書の提出スケジュールが設定されていない場合には、監査人サイドも余裕をもった対応が可能です。子会社側でも、会計監査をどのような事務所に依頼するべきか、じっくり考えることもできると思われますので、ご検討ください。

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