監査法人の処分について(金融庁)
監査法人の処分について
金融庁は、清流監査法人の「運営が著しく不当と認められる」として、2019年10月25日付で、同法人に対する処分を行いました。
処分の内容は、こちらに記載。
まず言えるのは、小規模(ここでは、社員5~10名程度)で監査法人をビジネスとして運営するのは非常に難しいということ。
処分内容には、当監査法人は、社員5名、非常勤職員を中心とした監査補助者等により構成されているが、総括代表社員を除く社員は、それぞれの個人事務所等の業務を主としており、当監査法人の業務への関与は低く、総括代表社員が品質管理担当責任者を兼務している。
また、当監査法人は、設立以来、特定の個人により実質的に支配されている企業グループを主な被監査会社とし、その監査報酬は当監査法人の業務収入の大部分を占めている。
とありますが、小規模監査法人がパートナー全員に監査法人への専従を求めるのであるならば、売上が6千万円(∵人件費を1千万円と仮定して、必要経費もそれなりにかなるので)は絶対に必要です。売上が6千万円必要だということであれば、上場会社や1千万円以上の監査報酬がある企業の案件を最低3件くらいは持っていないといけませんが、そもそも上場企業の監査案件を3件とってくるというのはかなり難しい。にもかかわらず、特定の顧客に対する売上が、一定以上になると公認会計士協会から独立性が阻害されるとの警告があるし、専従しろと言われても、監査法人だけの稼ぎでは生きていけないのが実際のところ。
ということで、必然的に小規模で監査法人を運営するのは難しくなるのですが、こういった形で小規模監査法人を締め付けると、中小規模の上場企業が監査を依頼することができなくなる(∵今や、大手監査法人や準大手は、中小規模で業務不振に陥っているような企業の監査を受けようとしない)。ということで、監査業界にきしみが至る所に出ている状態だと思います。
この傾向はしばらく続くことになると思われますが、私自身は中小規模の監査の受け手となる監査法人の存在は絶対に必要と思っているので、金融庁や公認会計士協会が、それを理解したうえで対応することも必要になってくると考えています。