外資系企業の監査報酬が高額な理由
(参考)
(1) 外資系企業が監査業務を依頼するケース
(2) 会計監査が求められない子会社は?
親会社監査人からの指示に基づき、連結子会社や持分法適用会社の監査を別の会計士が実施することをリファード・ワーク(Referred Work)といいます。海外親会社からリファー(言及/紹介)されて、日本の公認会計士が実施するからです。
なぜ、親会社の監査人が直接監査を実施しないかというと、日本の子会社で行われている取引の証憑や伝票などは、日本語で書かれているため、外国人が監査を実施しようとしても、効率的に進めることができないためです。
一般的に行われるリファードワーク(Referred Work)ですが、比較的規模の小さい連結子会社であっても、監査報酬は安い金額ではありません。外資系企業の報酬が高くなる理由として、以下のような理由があります。
・海外の会計基準が適用される
海外親会社は、国際財務報告基準や米国会計基準を適用しているため、日本の子会社もこれに基づいた決算を行う必要があります。しかし、日本の基準と国際的な基準との間には、まだまだ差異が多く存在するため、調整作業などが必要になります。こういった手続に工数がかかるため、監査報酬は高くなる傾向があります。
・英語が堪能な公認会計士が少ない
海外監査人から指示や、親会社へのレポーティングは全て英語で行われます。英語で高いクオリティーで監査業務に対応できる日本の公認会計士は、まだまだ少数であり、チャージレートが高くなることが多いようです。
・監査法人により実施される監査は、組織的な審査基準が適用される
大手監査法人では、成果物を外部に提出する際、何重にもわたるチェックが行われます。具体的には、監査チームが作成したレポートを、責任者であるパートナーがレビューした後、品質管理の担当パートナーがレビューします。パートナーのチャージレートは高額であるため、トータルの報酬も必然的に高くなってしまうのです。