監査報酬 300万円以下は『切れ』(東洋経済)
以下、東洋経済 2022年1月22日号からの引用
公認会計士による誌上覆面座談会の記事です。大手監査法人在籍会計士の偽らざる本音が見えてくる記事でした。
(P70)
大手は業務ルールや営業管理システムがグローバルで統一されていて、監査先の規模に関係なく、やることは一緒だ。一方で、確認すべきこと、つまり「工数」は増える一方だから、どうしても監査報酬の値上げは求めざるを得ない。また、パートナークラスは採算のノルマを抱えていて、「低採算の監査先からは撤退したい」というのが偽らざる本音だ。ここだけの話、「監査報酬が年300万円以下のところはどうたっても採算がとれないから切れ」「年1000万円前後は経過観察」なんて指令も上からは出ている。
大手監査法人が顧客選別をするのは仕方ないことだと思います。やはり、連結売上高1兆円を超えるような大企業の監査業務は、大手監査法人でなくては対応できないものです。しかし、どうしてもその割を食ってしまっているのが、やはり外資系企業の日本子会社であると私は認識しています。
もちろん、外資系企業の日本子会社で年1000万円程度の監査報酬を十分に負担できる会社もありますが、規模的には売上高が1~数十億円程度の一般的に中堅企業とカテゴライズされるような会社がほとんどです。そのような会社の場合、500万円以上の監査費用を負担するというのは、非常に重いのではないでしょうか。
親会社がBig4の監査法人の監査を受けているため、日本子会社も同じグループの法人に監査を依頼しているケースは多いと思われます。しかし、大手監査法人にとっては年1000万円にも満たないようなクライアントは、せいぜい経過観察レベル。だからこそ、対応がドライかつ淡泊になる。
以前から私が話していることですが、海外の親会社は、規模の小さい子会社の監査を、大手法人に依頼すべきか、個人の会計士に依頼すべきかなど、ささいな問題としてとらえている傾向があります。しょせん、海外の監査人からすれば、大手法人も、個人の会計士も赤の他人になってしまうので、どちらでもよいのです。このような外資系企業の日本子会社で、監査費用の負担増に悩まされている会社や、大手法人の対応に満足していない会社は、中小法人や個人の会計士などに、監査を依頼するという意思決定も考慮すべきかと思います。
(HP)外資系企業の日本子会社の監査業務は日本橋国際会計事務所まで
(LP)外資系企業の監査(解説ページ)