コンサル料が違いすぎる(東洋経済)
以下、東洋経済 2022年1月22日号からの引用
TCFD開示(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)にかかるIR担当者の誌上覆面座談会の記事。大手法人と中小法人の対応の違いが如実にわかる内容であったのでとりあげました。
(P58)中堅金融機関 財務担当役員の話
当社はプライム市場市場に移行する。当然、TCFD開示が必要になる。大手コンサルに対応支援を打診したら「3000万円くらいかかる」と言われた。あまり名前を知られていないコンサルに見積りをとったら「300~500万円」。差がありすぎて適正価格がわからない。結局、コンサルが儲かるだけという気がする。
監査業務やこういったコンサルティング業務の場合、まず適正価格を知ろうとすることが無理があるのかもしれません。一般に、大手監査法人やコンサルのほうが見積りが高い理由にはいろいろありますが、いくつか挙げてみると
- 海外ファームへのブランド使用料・経営指導料を上乗せしている
- 都心のオフィス賃料・ハイスペックなシステムなどの導入などによる製造間接費を上乗せしている
- 新人の教育研修費用などの間接費を上乗せしている
- パートナーなどの年収が高い社員のチャージ分が上乗せされている
などの理由があると思っています。これに対して、中小法人の提示価格が安くなっている理由は
- 経営指導料などの負担がない
- スタッフのアサインを外注費でまかなっている場合、固定費の負担がない
- 比較的経験豊富なスタッフがアサインされており、教育研修費用の負担が少ない
- 担当マネージャーの人件費も大手と比較すれば安価に設定されている
というようなことがあげられると思います。
監査業務にしても、コンサル業務にしても同じことがいえますが、結局は担当する会計士の力量やキャラクターに左右されるのが我々の業界の仕事です。大手法人の仕事に不満があるというクライアントの話を聞いてみると、結局は担当マネージャーであったり担当パートナーの力量やキャラクターが、会社の求めるものと合致していないということに起因していると思われます。つまるところ、法人自体の良し悪しではない。
ということを考えれば、相対的に低い見積りを提示している中小法人や個人の会計士であっても、十分な力量を持っていると判断され、信頼に足る公認会計士が対応してくれるのであるならば、何ら問題はないというのが、私の意見です。私も数多くの財務経理担当部長やIR担当者とおつきあいがありますが、こういった担当の方は法人の名前だけでコンサル会社を判断するのではなく、担当者の力量や性格なども踏まえたうえで、仕事をまかせるに足るかどうかを判断することが、これからは求められるでしょう。