値上げ要求で増える監査難民(東洋経済)

以下、東洋経済 2022年11月5日号からの引用

P59
三大法人がこれだけ監査先を減らしても、監査報酬プラスを維持できているのは、値上げ効果だと思われる。三大法人が撤退した上場企業の主な受け皿になっているのは、準大手では太陽、仰星、PWC京都の3法人である。(略)三大法人の準大手では足りず、アーク、ひびき、A&Aパートナーズ、アヴァンティアといった中堅だけではなく、RSM清和、東海会計社など、中堅以下の監査法人も大きく伸ばしている。(略
そろそろ中堅以下の監査法人もキャパが限界に近づいているのではないか。

大手監査法人がビッククライアントに持てるスタッフを集中しているのは最近の傾向ですが、こういったことから、大手監査法人は、中堅規模の上場企業の監査に十分な余力を割くことができなくなっています。そうなった場合、こういった上場企業が中堅監査法人を頼ることになるのは必然の流れです。

中堅監査法人で上場企業の監査をできるのかと心配される経営者や財務経理担当者もいらっしゃいますが、こういった監査法人は海外事務所とのネットワークもあり、とりたてて大きな心配はないのではというのが私の見解です。しかし、こういった中堅監査法人でも対応が非常に困難な監査対象が、外資系企業の日本子会社であると私は認識しています。

というのも、海外企業や海外の監査人とやりとりができる会計士は、日本では大手監査法人に集中しているためです。中堅監査法人で対応できる会計士は数少ない状況です。すなわち、外資系企業の日本子会社の場合、大手監査法人に断られたら、中堅に頼りたくでも、キャパシティ的に対応できないがゆえに、監査難民化してしまう会社様も少なくありません。

海外の親会社は、規模の小さい子会社の監査を、大手法人に依頼すべきか、個人の会計士に依頼すべきかなど、ささいな問題としてとらえている傾向があります。しょせん、海外の監査人からすれば、大手法人も、個人の会計士も赤の他人になってしまうので、どちらでもよいのです。このような外資系企業の日本子会社様の場合、準大手に頼むことは検討せずに、中小法人や個人の会計士などに、監査を依頼するという意思決定を早めにするということも選択肢のひとつになるでしょう。

(HP)外資系企業の日本子会社の監査業務は日本橋国際会計事務所まで
(LP)外資系企業の監査(解説ページ)