米国法人の日本子会社監査
アメリカでは、イギリスやシンガポールとは異なり、非上場会社には監査が義務付けられていません。したがって、日本子会社に監査が求められるケースは
a) 米国親会社が上場している
b) 米国親会社が上場準備段階にある
c) 親会社は非上場であるものの資金調達などの理由で会計監査が必要になる
のいずれかのケースだと思われます。ただ、一般的なケースは a) になるのではないでしょうか。ここでは、親会社が上場会社であることを前提に説明します。
アメリカの上場企業は、四半期決算日から45日以内に10-Q報告書(日本でいう四半期報告書のようなもの)を、60日以内に10-K報告書(日本でいう有価証券報告書)を、SEC(米国証券取引委員会)に提出しなければなりません。10-Qや10-Kは一度作成したものがあれば、内容を引用することができるかもしれませんが、そこそこのボリュームがある書類です。短期間の作成は、かなりハードです。したがって、日本子会社が米国親会社に財務報告をする場合、早いスケジュールでのレポーティングが求められます。どんな会社も、決算日後1週間程度で税前数値のクロージングをして、税金計算も2週間程度で行うことが要求されているはずです。
そうなった場合、子会社の監査も相当大変になり、我々公認会計士も決算日後2~3週間以内(早い場合には1週間以内)に監査をコンプリートすることが求められます。英国系の非上場会社監査の場合には、比較的ゆっくりとしたスケジュール感で物事が進みますが、米国系子会社の場合には、そう簡単にはいきません。また、10-Qには監査人のレビュー意見も必要になるので、それなりに規模の大きい日本子会社では、四半期でも手続が要求されることになります。
といった事情もあり、私どものような中堅事務所が、米国系日本法人の監査をする機会は、比較的小規模な法人に限定されます。また、四半期では特段の手続が要求されることはなく、期末決算時にのみ、親会社監査人の指示にしたがって手続を実施するケースが大半です。
といった事情もあり、米国系日本法人の会計監査は、親会社の監査人と同じグループファームにより実施されることが一般的でした。しかし、小規模な日本法人の場合、最近では大手監査法人で対応できるリソースが少なくなってきていることから、私どものような中堅企業への依頼が多くなっています。12月決算会社の場合、3月には税務申告書の提出も終わり、年次決算が一段落するころかと思われます。中堅会計事務所への監査のご相談をする良いタイミングかと思われますので、ぜひご相談ください。