シンガポール法人の日本子会社監査
シンガポールでは、会社法で決算日後6ヶ月以内(SGX上場企業の場合は、決算日後4ヶ月以内)に株主総会を開催することが求められています。Companies Actの条文は以下のとおり。
175 Annual general meeting
(1) Subject to this section and section 175A, a general meeting of every company to be called the “annual general meeting” must, in addition to any other meeting, be held after the end of each financial year within —
(a) 4 months in the case of a public company that is listed; or
(b) 6 months in the case of any other company.
ということで招集通知などを発送する期間を考慮すると、シンガポールの非上場会社の場合、特に急いでなければ5ヶ月程度で決算書を作成する会社が多いようです。しかし、例外規定はあるものの、連結財務諸表を作成することが求められます。
201 (5) Financial statements and consolidated financial statements
(一部省略)
The directors of a company that is a parent company at the end of its financial year must cause to be made out and laid before the company at its annual general meeting
– (a) consolidated financial statements dealing with the financial position and performance of the group for the financial year in respect of which the annual general meeting is held; and
– (b) a balance sheet dealing with the state of affairs of the parent company at the end of its financial year.
このように、シンガポール法人は非上場会社であっても、連結財務諸表を作成しなければならないため、日本子会社のBS・PLも決算にとりこまれることになります。
しかも、シンガポールでは、原則として非上場会社であっても監査が義務付けられています。具体的には、下記のような会社法の条文となっています。
201 (8)
The financial statements must be duly audited before they are laid before the company at its annual general meeting as required by this section, and the auditor’s report required by section 207 must be attached to or endorsed upon those financial statements.
しかし、会社法上でSmall Companyと位置づけられる会社については、監査を受けなくてもよいとされています。具体的には、下記の条件のうち2つを満たす会社がSmall Companyに分類されます。
1) 直近2事業年度における売上高 SGD10 million 以下
2) 直近2事業年度における総資産 SGD10 million 以下
3) 従業員数が当年度末時点で50人以下であること。
以上の会社法の規定をふまえると、売上高・資産計上額が十億円程度であれば、シンガポールでは非上場会社であっても監査を受けなければならず、しかも連結財務諸表を作成しなければならないことから、その子会社である日本法人にも監査が要求されることがあります。
とはいえ、その日本子会社の監査を行う監査人は、大きな監査法人でなくとも問題はありません。弊所では、こういったシンガポール系日本法人の監査を、親会社の監査人と連携しながら行っております。お見積り等のご相談も承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。