令和元年 公認会計士試験問題の感想(経営学)
令和元年公認会計士試験論文式試験の試験問題 及び答案用紙について(経営学)
私たちが公認会計士2次試験の受験をしたころは、民法・経営学・経済学の中から2科目を選択する必要がありました。民法と経済学がヘビーな科目と言われていたこともあり、ほとんどの受験生が経営学を選択していたように思います。経営学は試験委員の色が出やすい科目です。今回、問題を眺めてみましたが、果たしてこの問題に記載されている内容は、デファクトスタンダードなのか、知っていなくてもよい知識なのか、考えてしまうようなものもありました。
第一問、問題1は製品ライフサイクルやPPMに関する問題なのですが、はっきり言って、私はこちらの問題の解答にあるような用語はほとんど知りませんでした。もちろん、製品ライフサイクルや経験曲線のエッセンスなどはもちろん知っていますが、普及曲線とかキャズム理論なんて話は、肌感覚ではわかるものの専門用語できちんと学ぶような機会はありませんでした。やはり、こういった理論はタイムリーに進化しています。用語を知らなかったので、受験生には酷な問題のように思われましたが、もしかしたら、現代経営学においては、当たり前の知識なのかもしれませんね。勉強になりました。。。
問題2は、基本的な知識のような気がしますし、それほど難しくない印象も受けますが、トランスナショナル型組織という単語は初めて聞きましたね。。。各国現地法人により現地に合わせた自律的な経営が行わるとともに、各国現地法人が経営資源の調整などの面で連携しつつ事業運営が行われる形態の組織のことを言うようですが、まあ海外駐在経験のある人にとっては、肌感覚でわかるような話でもあります。こういったことを体系的に学ぶ時代になってきたということですかね。。。
第二問は、いわゆる経営財務論ですね。監査法人にいる会計士は、こういったことをあまり知らなくても生きていけるのかもしれなせんが、独立開業して株価算定などを行う会計士や、ファイナンスの正解で生きていく人たちにとっては、ごくごくあたりまえの知識になってきました。私自身、こういった世界で長く生きてきたこともあるので、難しくない印象があります。どうでもよいですが、私がシンガポールで働いていた時、シンガポールの監査法人で勤務経験があるマレーシア人の部下が、財務論の知識が全くないことに驚いたことがありました。監査法人で生きていくならともかく、上場企業の財務担当者として生きていくのであれば、経営財務論の知識は必須
だろう…と思って呆れたことがあるのですが、単なる経理マンになってしまうのか、それとも財務経理部長として投資家と相対していくのかの違いは、まさに財務論にあるような気がします。ここ数年の傾向はわかりませんが、こういった問題はこれからも出題され続けることになるのではないでしょうか。
いずれにしても、20年前の経営学の問題とは、かなり雰囲気が変わっているように感じました。また、知らない専門用語が出題されているあたりに、驚きを禁じえませんでした。ビジネス書籍などに常に目を通して、勉強をしなければいけないなと思った次第です。