公認会計士(日本と米国の比較/その1~試験の難易度)

私は、2001年に日本の公認会計士2次試験に、2017年に米国公認会計士試験に合格しました。日本の会計士試験に私が合格したのは、20年近く前の話なので、近年の試験制度についてはわからないことも多いのですが、試験問題を見る限りは、合格率はやや増えているものの、問題の難易度は明らかに高くなっていると思います。最近の試験問題を見て、こういった問題を正確な知識をもってきちんと解答できる受験生には、はっきり言って脅威を覚えます。とはいえ、実務に出れば、会計士としての知識以上に、営業スキルであったり、ITスキルであったり、コミュニケーション能力が求められるので、頭が良ければよいというものではありませんが。最近は、大学在学中の学生の合格割合が高くなっているようですが、以前はそんなことはなかったと思います。ただ、暗記一辺倒の試験から、応用力であったり、法的構成力であったり、実務的な内容がより問われる試験になっている傾向がありますが、そういったことで地頭のよい人が合格しやすくなっているのだと思います。

それに比べれば、USCPAの試験は、科目ごとの受験が可能であるし、問題の難易度もそれほどのものではありません。一部の試験(BEC)は、英語での記述式の問題もありますが、まあそこそこ英語の勉強に抵抗がない人であれば、難なくクリアすることができるかと思います。そして、必ずしも地頭の良さを問うような問題はありません。むしろ、基本的な内容を問う問題が多く(Audit Theoryはちょっと違うかな~とは思いますが)、Multiple Choice形式の問題がほとんどなので、英語力のある人が地道に勉強すれば、いつかは合格します。とはいえ、根をつめて勉強はする必要があります。なので、そもそも受験勉強が向いてない人は厳しいでしょう。高校は内申点で、大学は推薦で進学したような人で、受験勉強経験があまりない人は、結構苦労するかと思います。

ということで、日本の公認会計士とUSCPAの試験は明らかに難易度が違います。そのため、USCPA合格者は、頭がすごく良い人と、あまり冴えない人とで、監査法人では明確に分かれていたような気がします。監査法人内でのヒエラルキーの差については、改めて述べたいと思いますが、とりあえず、JICPAでもUSCPAでもどっちでもよい、とりあえず早く会計的専門家として、社会人として働きたいと思っている人は、USCPAでよいのではないでしょうか。これとは別に日本で地に足つけて仕事をしたい、監査法人などでそれなりの経験を積んでいきたい、独立開業したいと思っている人は、やはりJICPAでなくてはいけないのかなと思います。とはいえ、私が監査法人にいたときも、10人に1~2人くらい、すごく優秀なUSCPAというのはいました。でも、みんな若くして大卒で入社した人がほとんどでしたね。しかも、そういう人たちは、あまり長く監査法人に残らずに、ステップアップする人が多かったと思います。30代で途中入社したような人は、意外と冴えなかった印象があります。

両者は、明らかに将来のステップアップを考える際に、大きな差異が出てくるはずなので、もし悩んでいらっしゃる方がいれば、冷静に考えてほしいですね。人によって、どちらの試験を受けたほうがよいのかは異なると思います。

公認会計士(日本と米国の比較/その2~将来のキャリア形成)