消費税増税分30億円未払い 大東建託側に公取委勧告 オーナーへの賃料過少

消費税増税分30億円未払い 大東建託側に公取委勧告 オーナーへの賃料過少 (日経新聞)

大東建託は、オーナーから賃貸物件の部屋を一括借り上げして、それを実際の入居者に貸し出すビジネスで成功した会社です。このビジネスの取引を、消費税を無視して考えると、オーナーからある部屋を、月10万円で借り上げて、それを実際に部屋に入居する人に対して12万円で貸し出すという取引になります。

ここで、入居者が支払う賃借料については、消費税はかかりません。したがって、実際に支払われる賃料も12万円です。しかし、大東建託側がオーナーさんに対して支払う賃料は、消費税がかかることになります(引用参照)。実質的には住居として貸し出されているので、解釈は難しいと思うのですが、オーナーが大東建託に対して貸し出す際には、事業取引とみなされるのが妥当でしょう。

引用:国税庁ホームページ「平成30年4月1日現在法令等」

すなわち、消費税を考慮して考えると、消費税が8%になる以前は、上記の例でみた場合、大東建託はオーナーに5%の消費税込で10万5千円を支払っていたということになります。ここで、問題になってくるのは、消費税が8%になったときの話です。おそらく、大東建託はオーナーさんに8%の消費税を支払わず、以前の通り10万5千円の支払いを継続していたものと思われます。この場合、オーナーさん側ではどういった困ったことが起こるのかというと、消費税は8%なので、税抜きの売上高が減ってしまうのですね。具体的には、105,000÷108*100=97,222円になってしまう。オーナーさんは、仮受消費税と仮払消費税の差額を、納税しなければいけないので、消費税の支払は増える。ということで、オーナーさんは、負担が増えるということであったわけです。

まず、言えることは、大東建託は、消費税が5%から8%に上昇した後は、8%の消費税を付加して支払わなくてはいけなかった。もしかしたら、当初締結していた契約書の中で、消費税の変更に関する規定が明確ではなかったがために、10万5千円の賃料を支払い続けていたのかもしれませんが、こういったトラブルを防ぐために、消費税転嫁法という法律が定められていたので、言い訳にはならないでしょう。

とはいえ、こういった話、意外とよく聞く話でもあります。年間で、賃料やシステム使用料を支払うような会社では、どこでも起こりうる話です。今回のケースは、オーナーさんが不利になるケースでしたが、必ず不利益を被る人がいる以上、公正取引委員会も相当にこういったケースの取引については、厳格な対応を求めてくるはずです。

2019年10月1日からは、消費税が8%から10%になります。こういったケースは、当然に今度のケースでも問題になるはずなので、賃料やシステム使用料などを支払う企業は、注意したいものです。