リース取引の資産計上

少し前のニュースになりますが、日本の会計基準を作る企業会計基準委員会(ASBJ)は、2019年3月22日、すべてのリース取引を貸借対照表(バランスシート)で資産計上する会計基準を作成する方針で合意した。草案作りなどを経て2~3年後に適用が始まる見通しとのこと。

全リースの資産計上、2~3年後めどに適用 ASBJ(日経新聞)

リースは、購入に近い「ファイナンスリース」と、賃貸借である「オペレーティングリース(オペリース)」に分かれますが、この基準の適用により、オペレーティング・リースについても、資産化が求められます。影響は、不動産や小売業、物流、海運など多方面に及ぶことが予想されます。

あくまで会計処理上の問題だが、経営目標として総資産利益率(ROA)などを掲げる企業の数値悪化が投資家の判断に影響する可能性はある。財務基盤の弱い会社にとって有利子負債額の増加は重荷だ。

当然に、上場企業や大企業においては、かなりの影響が見込まれることになりますが、個人的には、こういった会計基準の適用は、中小企業には及ばないのではというのが私見です。実際に、IFRS for SMEという中小企業向けの会計基準では、オペレーティング・リースの資産化までを要求していないので、こういった制度をうまく使えば、影響を最小限に抑えることも可能なのではとも思っています。

具体的には、連結対象となる中小子会社について、IFRS for SMEを適用しても、IFRSを採用していることにはなるため、今まで通りの対応も可能になるのではとも思われます。

ただ、オペレーティング・リースについて「オフバランスという利点が薄まれば、リース設備を利用して企業が投資する意欲が弱まる(記事引用)」というのは事実であり、今後の設備投資方針に影響を与えることにはなるでしょうね。

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