外国法人の会社機関設計(その3)~駐在員事務所が採用されない理由

(なお、当該記事は、英語版ブログでの英訳を後日配信する予定です)。

外国法人の会社機関設計(その1)
外国法人の会社機関設計(その2)

外国法人が日本進出をする際に、駐在員事務所、日本支店、子会社(日本法人)の3つの形態がありますが、駐在員事務所の形態は、ほとんど採用されないのが一般的です。

なぜかというと、駐在員事務所は、外国企業が日本で本格的な営業活動を行うための準備を行う拠点として設置するものであり、市場調査、情報収集、物品の購入、 広告宣伝などの活動を行うことができますが、収益を伴う直接的営業活動を行うことはできないためです。

通常、日本へのビジネス進出を考える場合、収益獲得を目的とするのが一般的ですよね。そもそも、収益獲得を目的とした機関ではない、駐在員事務所はそぐわないのです。しかし、外国企業が、日本へのビジネス進出するかどうかの意思決定をする必要があり、進出をしないという選択肢もありうるのであれば、駐在員事務所を設置するといったケースもありうるでしょう。駐在員事務所の設置手続は、登記などの必要もなく、日本国内にオフィスを設ければ、スタートをすることができるので、手続は容易です。しかし、法務局に登記されないため、日本国内で公的に駐在員事務所を証明することが難しいのと、駐在員事務所の名義で、銀行口座を開設すること、不動産を賃借することは、通常できないので、個人が代理人と して、これらの契約の当事者となることが通常です。

したがって、日本に在住する方を駐在員として指名したうえで、事務所の設置手続を進めるということがベターな選択肢になるかもしれません。事実、弊所が取り扱った案件でも、外国企業が日本に在住する個人と駐在員として雇用する契約を締結したうえで、事務所を設置するケースがありました。とはいえ、そういった人材を見つけることも難しいという難点があり、やはり駐在員事務所を設置するケースというのは少ないのが実情です。

(参考記事)
外国法人の機関設計(その4)~支店の設置

(リンク)
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