公認会計士試験 合格者数推移
前回は、税理士試験の受験者数推移についてコメントしましたが、日本の公認会計士試験についても少しコメント。
【図:過去15年間の合格者数と合格率】
推移を見ればわかりますが、明らかに2006年~2008年は異常であった。我々の業界でも、この近辺に合格した会計士の評価は低くなってしまっています(本当に優秀な人はかわいそうだと思います)
ここ数年は徐々に合格者が微増している状況がうかがえますが、今後合格者が大きく増えることはないでしょう。やはり、合格者を絞ることで、公認会計士のクオリティを一定に維持することにはなるのです。
客観的に思うことですが、公認会計士協会は、公認会計士を志そうとする裾野を広げることに非常に熱心です。この取り組みは非常に素晴らしいところであり、税理士業界とは少し異なる点でもあると思います。そういった取り組みの中で、少しでも優秀な人に会計士という仕事に興味を持ってもらい、資格者のクオリティを高めていく。そういったことを考えているような気がします。
しかし、圧倒的にリソース不足であることも間違いなく、合格者をさらに増やしていきたいとは思うものの、J-SOXショック(いわゆる、2006年~2010年の間に、需要増を見込んで会計士試験合格者を増やしたが、業界のシュリンクとともに供給過多の状況になり、資格者のクオリティ低下や働けない有資格者を出してしまったこと)の反省もあるので、この傾向は続くでしょうし、申込者が増えなければ続けていくべきでしょう。
実際、かなりの競争倍率を勝ち抜いてきた2010年~2011年の合格者は、そのあおりを食って、就職できなかった人もたくさんいたでしょう。そのような業界であるべきではないし、業界に関与する当事者がクオリティを高めていくべく、いろいろと考えなくてはいけないでしょう。