GAAP差異(有形固定資産ー減価償却)

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前回は、IFRS特有の規定である再評価モデルや構成要素アプローチについて言及しました。今回は、比較的論点になることが多い減価償却についてとりあげます。

3.減価償却方法

まず、日本基準では、企業会計原則において、資産の耐用期間にわたり、定額法、定率法等の一定の減価償却の方法によって、その取得原価を各事業年度に配分しなさいと規定されているのみです。そして、注解20において、定額法、定率法、級数法、生産高比例法などが列挙されています。

IFRSは、ある意味非常にシンプルな規定になっており、減価償却方法は、資産の将来の経済的便益が企業によって消費されると予測されるパターンを反映されるものでなければならないと規定されています(IAS16.60)。この点が、日本基準と大きくことなる点。そのうえで、定額法(straight line method)、定率法(diminishing method)、生産高比例法(units of production method)が例示されています(IAS16.62)。

USGAAPでは

The cost of a productive facility is one of the costs of the services it renders during its useful economic life. Generally accepted accounting principles (GAAP) require that this cost be spread over the expected useful life of the facility in such a way as to allocate it as equitably as possible to the periods during which services are obtained from the use of the facility. (ASC360.10.35.4)

(意訳)生産的設備にかかる取得原価は、その経済的耐用年数の間に用に供されるサービスにかかるコストを構成するものである。 USGAAPでは、この取得原価を、設備の使用からサービスが得られる期間にわたって、可能な限り均等に、予測される耐用年数にわたって配分させる必要がある。

こうしてみると、IFRSやUSGAAPでは経済的(Ecconomic)というキーワードがあります。これに対して、日本基準ではそのような用語は用いられていません。よく、日本企業がIFRSやUSGAAPを適用する際に、減価償却方法や耐用年数を改めなくてはいけないという議論が出るのは、日本の税法基準における減価償却方法や耐用年数が経済的便益の費用を無視したものであるからです(少し言い過ぎかも)。したがって、IFRS/USGAAPへのコンバージョンを考える際には決して無視することができない論点になるのです。

減価償却方法の見直しに関連する論点は、次回に言及する予定。

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