GAAP差異(無形資産)

無形資産のGAAP差異についてもいくつか論点があげられます。ただ、IFRSでは再評価モデルが認められており、日本基準やUSGAAPでは、再評価モデルが認められていないといっても、無形資産についてほとんど再評価する余地がない以上、無視してもよい論点も多くあるかと思います。

重要な論点は、耐用年数が確定できない無形資産に関する規定と、研究開発費に関する規定なのかと思われます。

1.耐用年数が確定できない無形資産

IFRS、米国基準では、耐用年数が確定できない無形資産に関する規定が設けられています。企業にキャッシュフローをもたらすと期待される期間について、予見可能となる限度がないと判断される場合、当該無形資産は耐用年数が確定できない無形資産として扱われます。

IFRSでは、耐用年数を確定できない無形資産について、減価償却をすることは求められませんが、減損テストを毎年実施しなければいけません。そして、減損の兆候がある場合には、期末であるかなしかにかかわらず、必ず減損テストを実施しなければなりません(IAS38.108)。

US-GAAPでは、下記のような規定となっています。

(ASC350.30.35.15)
If an intangible asset is determined to have an indefinite useful life, it shall not be amortized until its useful life is determined to be no longer indefinite.
(意訳)無形資産の耐用年数が確定できない場合(=無限の耐用年数である場合)、(もはや無限とはいえなくなるまでは)償却はできない。

(ASC350.30.35.18)
An intangible asset that is not subject to amortization shall be tested for impairment annually and more frequently if events or changes in circumstances indicate that it is more likely than not that the asset is impaired.
(意訳)償却されない無形資産は年1回減損テストを実施するものとする。ただし、減損の兆候がある場合には、それ以上の頻度で実施する。

また、改めてのれんの取扱いについて説明する際に言及するとは思いますが、一般にIFRSやUSGAAPにおいて、「のれんの償却が必要ない」と言われるのは、のれんが「耐用年数を確定できない資産」であることに起因します。すなわち、のれん自体が有限のものであるならば、それは必ず減価償却をしなければならないことを意味します。

なお、日本基準では「耐用年数を確定できない無形資産」に関する取扱いはありません。のれんについても、原則20年以内での償却が求められています(企業結合に関する会計基準32項)。

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