外国親会社の経理業務~今と昔

以前の規模が比較的小さい日本の外資系子会社では、財務経理責任者1名と経理スタッフ1~数名という経理体制が非常に多かったように思います。しかし、近年はクラウド会計の普及で、この体制が財務経理責任者1名と経理スタッフ0~1名という体制に変わってきたように思います。

クラウド会計システムの普及は、2010年以後の経理業務のあり方を完全に変えました。請求書の作成から売上高の計上、売掛金の回収に至るプロセスはほぼ自動化されましたし、従業員の経費精算システムなども付随しているので、この辺りの管理工数が著しく削減されることになりました。仕入や経費計上に関しても、購入先からの請求書をスキャニングしてしまえば、自動的に仕訳計上まで流れていくプロセスを構築することが可能になるので、やる手作業といえば、請求書をスキャンすることくらい。請求書や領収書を紙に貼るような作業をしないと決めてしまえば、もはや経理業務補助といった仕事をする人は完全にいらないのです。

このような環境の変化により、日本の財務経理責任者は、親会社へのレポーティングや説明などにより時間をかけられるようになってきたといえるでしょう。とはいえ、こういった財務経理業務を自動化するプロセスについては、クラウド会計システムに習熟した会計事務所のサポートが必要になります。

そして、クラウド会計システムを中心とした自動化プロセスの導入は、新規設立時から進めていくほうが絶対によいです。「経費精算の手続などは、最初は手作業でやっていこう…」などと考えている方も多いと思いますが、1人あたり数百円程度でこういったシステムを手軽に導入することが可能です。

外資系の日本子会社の場合、親会社にスタートの段階でこういった説明をすれば、費用を支出することに関しては必ず理解していただけるはずです。弊社では、外国会社の設立手続にも対応しておりますが、設立初年度の予算などを作成する際に、こういったクラウド会計システムに関連する支出についても組み入れていただくよう、早い段階でアドバイスさせていただいております。もちろん、親会社のERPシステムを入れるということであれば、このような会計システムを入れないという判断をすることにもなるかもしれませんが、規模の小さい子会社については、それほどまでにこだわりを持たない可能性もあります。

設立段階から、どのような会計システムを使っていくのかということも、ぜひ考えていただきたいと思います。

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