地方会社からの監査依頼

2021年9月の記事で、大手監査法人から中小監査法人へのシフトが鮮明になっていることを記載しました。

(参考記事)会計監査人の交代

ただ、このような事情があっても、なかなか会計監査人の交代に踏み切れないのが、地方の会社かもしれません。たまに、「地方会社の監査も問題なくうけたまわります」と言ったような宣伝文句の中小監査法人や会計事務所のホームページを見かけますが、頼む側としても特有の事情というようなものもありますので、そう一筋縄ではいかないのではないでしょうか。

もちろん、私どもの事務所でも、地方に本店所在地がある会社の監査を受けることは可能です。むしろ、まったく問題ございません。最近では、ZoomやTeamsなどのコミュニケーション・ツールを使って海外の財務経理担当者や経営陣との会話をすることも、高いハードルではなくなりました。また、クラウドツールを使えば、資料の受渡しなども簡単です。地方の会社様であれ、このようなツールを駆使すれば、そう何度もお邪魔しなくても監査を行うことが可能ですし、大手監査法人ではコロナ禍もあって、そのような流れを加速させています。

ただ、そのような流れのなか、「会計監査の見えない化(私の造語です)」がものすごく進んでいるのも事実です。要するに、クライアント様から見れば、我々公認会計士が何をやっているのかが見えにくくなっているのです。確かに、公認会計士は会社様にお邪魔しても、会議室にとじこもってしまうので、元々何をしているのかわからないかもしれません。しかし、コロナ禍で、公認会計士も在宅で監査をするようになりました。「先生、本当に仕事してるんですか?」というような思いを持つクライアント担当者は多いのではないでしょうか。

個人的な印象ですが、地方の会社様の場合、この「会計監査が見えなくなる」状況について、不安を持つ方が相対的に多い印象を受けます。こういったことに懸念を持っているのであるならば、やはり大手監査法人の地方事務所や地元の会計士などに監査を依頼するほうが私はよいと思います。逆に、「コミュニケーション・ツールやクラウド・ツールの進展で、そのような状況はあたりまえ。部下だって在宅で仕事しているのに、会計士の先生にわざわざ何度も来てもらう必要なんてないでしょ」という考えをお持ちであるならば、地方の会社様でも監査人を変更することを積極的に考えてよいのではないでしょうか。

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