財務諸表の数字表記(四捨五入or切り捨て)
海外の財務経理担当者になって、少し驚いたのは、財務諸表の数値を、千円(百万円)単位もしくは、千ドル単位などで表記する場合に、海外では、ほぼ100%四捨五入で計算している会社であったことでした。ちなみに、日本では切り捨てが多いかと思います。
私が、監査法人に入所したころは、切り捨て表記する理由として、例えば99,999,999円を、四捨五入して100百万円として表記することは、実際に1億円に達する金額がないので、間違いであると教えられたような記憶があります。だから、日本の会社では、99,999,999円を、絶対に99百万円と表示しなければならない。そんな不文律があったような気がします。だから、切り捨てられた流動資産の内訳金額を足し算していくと合わないのは当然で、多少計算はズレてきます。
なお、余談ですが、日本の上場企業で、たまに、ゼロ表記(0百万円)となっているものがありますが、これは金額がないわけではなくて、999,999円以下の金額であるからなのです。ややこしいですよね。
しかし、海外では、むしろ資産の内訳金額がぴったり合うように四捨五入することが常識でした。実際に、海外の有名企業の資産や負債の内訳を足していくと、千ドル単位であろうと、百万ドル単位であろうと、ぴったり合うことに気付くでしょう。おそらく、切り捨て計算しているケースは、ほとんどないのではないでしょうか。
「99,999,999円を、四捨五入して100百万円として表記することは、実際に1億円に達するの金額がないのであるから、間違いである」という神話(?)を信じ込まされてきた身からすると、これは革命的なことでした。実際に、四捨五入しても、数字がぴったり合わないことはよくあります。では、海外の経理担当者はどうするかというと、アバウトに調整してしまう。これが、まさに青天の霹靂でした。
だから、監査法人のスタッフがフッティング(計算チェック)をする際にも、まったく違う。日本では切り捨て表記で縦計があっていなくてもOK。海外では、四捨五入で適当に調整してしまっているが、フッティングで縦計があわなかったらアウト。これは、日本基準による監査と、IFRS(もしくはUSGAAP)している監査でも、似たような傾向があり、日本の監査法人でも、日本の会計士とUSCPAでは違う対応をとってくることが多いのでやっかいです。
あなたが、財務経理担当者で、こういった指摘を受けてくることがあったら、その人が日本の会計士とUSCPAかを確認したうえで、どのような対応が望ましいのか考えたほうがよいでしょうね。