空リース・多重リースを使った粉飾決算
民事再生法の適用を申請したやきとりチェーン運営会社が、粉飾決算や不正リースをしていた件。店舗出店など積極的な事業拡大で、売上高の増加と最終黒字が続いており経営は好調に見えたが、架空の売上高の計上、固定資産の過大計上、経費の過小計上を繰り返しており、実態とは乖離した決算内容であったという話。
約20行の金融機関が債権を持っている状況で、きちんと経営指導できるメインバンクが不在だったことも、原因かもしれません。しかし、ちょっとお粗末なような気がします。。。
ここでは、こういった粉飾を見破るできることはできるのかという観点から見ていきたいと思います。架空の売上高計上は、何かしらの兆候はあると思います。現金商売のビジネスなので、変な売上債権が計上されていたら、まずその存在を疑ってかかるべきだし、借方側には何かしらの異常な兆候が出てくるはずです。税務申告書には、売上債権の勘定明細を添付するのが通常ですが、そういったものを目にすればある程度は把握できるはずです(税務署は、どちらかといえば架空売上ウェルカムな立場なので、問題視しないかもしれませんが)。固定資産の過大計上は、経営不振の会社であればよくある話です。利益を良く見せるためには、あえて減価償却をしない話は、非上場企業であるならば、よくある話。しかし、減価償却費を計上しない損益計算書を金融機関に見せて、納得してしまうというのもどうかと思いますが。金融機関サイドからすれば、減価償却費を計上して赤字におちいっている会社も、適切に評価すべきだと思います。
反対に、空リースや多重リースといった話は、そう簡単に発覚する問題ではないです。販売元と当事者が結託して、こういった不正を行っていれば、まずわからないです。。。多重リースであれば、会計監査で発覚する可能性はありますが、空リースは難しい。リース会社に確認をとった場合、多重リースであれば、同一の資産が複数の会社からリースを受けているので、「あれ?おかしいな?」となりますが、空リースは現物資産にあたらないとわからない。要するに、ひとつひとつリース資産を実査しなければわからない。
何はともあれ、こういったことが起こらないようにするためにも、一定の規模になれば、金融機関側も会計監査をBorrowerに求めていくということも必要になるのではないでしょうか。もちろん、会計監査をすればすべての不正を見抜けるというわけではないですが、粉飾決算の抑止力になります。監査証明を出すということまではしなくても、何らかの調査手続を会計士に依頼するだけでも効果があるとは思いますよね。
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