デューデリジェンスの報酬

デューデリジェンスは、英語ではDue Diligenceと書きます。一般的に、企業価値の査定や法律に関わる資産について調査する作業のことをいいます。投資や企業取引、合併や買収(M&A)などの際に対象となる企業の価値やリスクを詳しく把握するために実施されるもので、さまざまな側面からデューデリジェンスも実施されますが、もっとも一般的なものは、いわゆる財務デューデリジェンスです。決算の財務諸表から、過去の業績推移、収益性、事業計画との整合性、設備投資、簿外債務などの観点から分析が行われます。財務デューデリジェンスでは、財政状態の把握の際にキャッシュフローを分析することも特徴です。会計事務所や監査法人などの専門家に依頼されることが多いと言われています。
このほかに、企業の事業に直結する内容を調査するのがビジネスデューデリジェンスや人事デューデリジェンス、ITデューデリジェンス、法務デューデリジェンス、税務デューデリジェンスなどがありますが、これらすべてを実施することはケースバイケースです。ただ、当然にすべてを実施する場合には、金額も大きくなるので、やはり財務デューデリジェンスがメインに行われて、その他については付随的に行われるケースが多いでしょうか。

デューデリジェンスの報酬がいくらくらいになるのかは、それこそケースバイケースなのですが、一般的には工数に応じて積算される場合がほとんどです。だいたい、公認会計士の時間単価(顧客に請求する金額)は、1時間12,000~20,000円程度になりますが、たとえば、時間単価15,000円の公認会計士が3名で、2週間(作業1週間、レポーティング1週間)1日8時間業務を行う場合には、360万円ということになります。これが大手監査法人になると、レポートの審査担当や、パートナーによるレビューなども経ることになります。必然的に作業時間も増えることが多く、パートナーの時間単価は、30,000~50,000円程度になることもあるので、1000万円を超えることもめずらしくはありません。

海とも山とも知れない会社の株式を取得するというのは、当然に慎重に意思決定をする必要がありますので、何らかの意思決定はしなければならないのですが、会社によって異なるのは、どのようなレポーティングを求めているかになります。例えば、簡易的な手続を実施したうえで、タイムリーな口頭でのレポーティングを重視するということであれば、かなり業務報酬は抑えることができます。実際のところ、監査法人が行うデューデリジェンスなどは、レポーティングに相当時間をかけることが少なくないので、実は間接的な作業が報酬の大半を占めているというケースもあります。

また、デューデリジェンスは会社担当者が行ったうえで、公認会計士が必要に応じて現場での作業に同席し、タイムリーな意見を求めたいというようなことを望んでいるのであれば、レポーティングの作業は少なくなるので、コストも抑えることは可能でしょう。

いずれにしても、会社側として求めているものは何なのかを明確にしたうえで、デューデリジェンスを行うということであれば、そのコストも有効に管理することができるのではないでしょうか。

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