監査役の視点から見たコーポレートガバナンス

非常に難しい論点だと思いましたので、コメントします。

「監査役(会)の視点から見たコーポレートガバナンス改革」関西支部監査実務研究会

日本監査役協会の関西支部監査実務研究会から、「監査役(会)の視点から見たコーポレートガバナンス改革~現状の課題とより機能するためへの提言~」が公表されています。

この中で、言及されているのは、東証と金融庁により制定されたコーポレート・ガバナンス・コードが、その成立の背景が、これまでのガバナンス議論とは異なるものであるということ。とりわけ、ガバナンスの成果として、迅速果断な意思決定とその結果としての持続的成長を求めていること、また、多様なステークホルダーを想定しつつ、株主の権利・平等性確保で始まり、株主との対話で終わっている等、資本市場の要請をメインに据えていることとありますが、その通りでもあり、またコーポレート・ガバナンスを語る際にはそれだけでは語れないのではというような議論もあると思います。

近年は、独立取締役の役割が強調されるあまり、監査役の存在感が薄くなっている印象もありますが、そのような危機感は監査役として働いている方も持っているのでしょう。

個人的な意見ではありますが、私自身は、独立取締役がガバナンスの役割を担うほうが機能する会社と、監査役がガバナンスを役割を担うほうが機能する会社との間には、大きな違いがあると思います。そして、前者が機能する会社は、比較的大きな会社かつカリスマ的な経営者の会社のみで、ほとんどの会社が後者の機関設計が適しているような気がします。近年のコーポレート・ガバナンス・コード制定は、前者の会社を前提としたものになっており、監査役の存在がなおざりになっていると言ってもいいと思います。そういう意味では、監査役の方々が持つ危機感というようなものもよくわかるのですが、監査役の存在感に疑義を持つ一定のグループがあることも事実であり、非常に難しい問題だなと思う次第です。